1月26日
午後6時19分27秒
夜の静寂に包まれた住宅街を佳奈美は足早に歩く。
コツ・・・コツ・・・コツ・・・コツ・・・
後ろから足音が聞こえる。
しかし振り向いてもそこには誰もいない。
ただ足音だけが夜の闇に響く。
『もうさっきから一体なんなのよぉ・・・マジ最悪・・・』
そして佳奈美は後ろから視線の様な気配も感じていた。
夜の街でたった一人、得体の知れない者に追われる・・・
佳奈美は孤独感と理屈の無い真の恐怖に襲われていた。
佳奈美は立ち止まって振り返り恐る恐る誰もいない空間に話し掛けた。
「誰かいるの?」
「・・・・・・」
もちろん返事は返って来ない。
佳奈美は走り始めた。
幸いここから家までは近い。
さっさと家に帰ろう。
そう思った矢先の事だった。
♪〜♪〜♪〜
突然制服の胸ポケットに入っている携帯が鳴った。
『こんな時に何なのよ?とにかく家に帰ってから見よ・・・』
佳奈美はメールを無視した。
「ダメだよメールをシカトしたら。直ぐに確認しろよ。」
後ろから突然声を掛けられて佳奈美は後ろを振り向いた。しかし誰もいない。
「だっ・・・誰!?誰かいるの!?」
佳奈美に戦慄が走る。
「反応が遅せーよ。こっちだ。」
後ろから声が聞こえて振り向くと後ろには赤毛の長身の男と癒し系のやや小柄の男がいた。
「だっ・・・誰ですか・・・あなた達・・・それに・・・私に何の・・・用が?」
恐怖に震える声で佳奈美は言った。すると小柄な男は突然佳奈美にビンタを食らわした。その瞬間、両目のコンタクトが取れた。緑色の瞳が街灯の光りに反射し妖しい光りを放つ。
「一体・・・あなた達は何者なの?私をどうしたいの・・・」
佳奈美はビンタされた頬を痛そうに手で押さえながら言った。
「お美しい・・・ターゲットに間違いは無い・・・」
そう言うと小柄の男は満面の邪悪な笑みを浮かべた。
「カイ・・・どうやってやる?どうせ住民が出てきても何も見えないだろうし・・・」
二人は顔を見合わせた。