relations 30

るぅ  2007-04-19投稿
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「ほらぁ、笑ってよ。」

シャッター音が鳴っても仏頂面の俺に、ユカリが笑いかけた。

「いや。」

「子ども〜。」

「ぅるせっ!!」

言い合ってる間も、シャッターはきられていく。
時間内に沢山撮れるやつらしい。
こんなに撮ったら選ぶのが大変そうだ。

「アップしよアップ。」

グイッと俺の肩を押しカメラに近づくユカリ。

顔に柔らかい巻き髪がかかった。

「ちょ……ユカリ髪こしょばぃ。」

「あ、ごめん。」

ユカリがフワッと髪をかきあげる。

俺の右側にいるユカリ―――綺麗な横顔に一瞬目を奪われてしまった。

「どうしたの?」

「え?あ…別に……。」

慌てて反らした目の端に、なにか違和感を感じて――


あ?

今………なかった?


もう一度ユカリを見る。

カメラを見つめる無邪気な瞳と、真っ白な頬と、ゆるやかに微笑む唇――――そして、左耳。




ピアスが……ない?


いつも紫の石が光るその場所には、小さな穴があいてるだけ。


思わず手を伸ばす。

「リョウ?」

ポカンと見上げてくるユカリにかまわず、髪をかきあげながら耳朶に触れた。

ない。

マジでない。



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