ただそれだけのことなのに
なんで俺
こんなに嬉しいんだろ……
ふと、目が合った。
また俺の心読んだのかな。
俺の手に指を添えたユカリが、優しく微笑んだ。
もぅいいや。
ガキだろうが単純だろうが……ごまかす余裕もねぇよ。
理由なんかどうでもよくて……ただ嬉しくて仕方ねんだよ。
俺はユカリを引き寄せた。
耳朶を優しく噛んでから、そのすぐ下の少し後ろに唇をつける。
セフレにマークは厳禁。それは当たり前でお互い暗黙の了解。
でも、俺いつもつけてたんだ。
ユカリは知らなかっただろ?
わかりにくい場所だし
気付かれないように、つけるのはお前がイッた瞬間。
初めてつけたのは
あのピアスが、彼氏から貰ったもんだって聞いた日だったんだ。
白い首筋に、強く吸い付く。
「っ………。」
ユカリは小さく息を呑んだけど、抵抗しなかった。
しばらくしてゆっくり唇を離すと後に残ったのは真っ赤な薔薇。
アメジストなんかよりよっぽど似合ってるよ。
無意識に声に出してしまったらしい。
ユカリが声をあげて笑う。
その笑顔も薔薇みたいに綺麗で――目が離せなかった。