人間はやっぱり自分が一番だ。どんなに愛する人がいても本気で自分以上に愛すことはできない。大人になるにつれて刻まれてゆく裏切りの数。そうして知らないうちにそれらは都合良く処理され乾いた傷跡として残っていくのだろう。だが、何も知らないと、こんなにも傷付き孤独で悲しい思いをしている人が世界中自分以外にいるのかと嘆く日々を送る。世の中の男と女にとっての本当の幸せとは、恋をする幸せとは何であろうか。価値観というものは十人十色であっても、その根本的な何かを人間たちは見失っている気がする。それは一見簡単なことに見えるが、同時に最も難しいことのように思える。
出会いは別れをも意味する。そう、いつかは別れが来るのだ。そんな現実を受け入れることのできない人々の、私は一人であった。けれど今の私は違う。それが良いか悪いかという問題ではない。今の私にだって十分課題だらけだ。でも、ひとつ確信を持って言えることは‥すべてに意味があること。出会いから別れまでの時間も涙もため息もすべて。家族と、友人、恋人、先生、好きな人。どんな出会いも、その目的は自分を強く、それから優しくするためにある。そして別れて初めて気付き、学ぶ。さらにまた新しい出会いを通して経験を生かすのだ。私は普通にみんなが思う当たり前のことを言っているだけかもしれない。けれど、何かに煮詰まったとき、周りが見えなくなってはならない。うまく生きようとしなくて良いと思う。失敗した数だけ光って見えるから。出会いも別れも、その一つ一つを噛み締めて、己を築き上げて行くのだ。