…暫く見惚れていたが、彼女の胸元と肩に光る階級章を見てようやく我にかえった。
「しっ 失礼しました!
ツバサ=オオトリ軍曹であります!」
彼女の階級章は「白」、「黒」、「赤」の3本線。
白は[部隊司令]。
黒は[艦長]。
赤は[佐]級を表す。
さらにその上には、輝く星が3っつ。
つまり[大佐]であることを示す。
しかも、その星の色が特殊だった。
普通は金色の星が付いているのだが、彼女の星は[銀色]なのだ。
([銀星]…。本当に居たんだ…。)
軍の中でも、ほんの僅かしか居ないと言われるエリート。
噂にすぎない、実在も疑わしいと思っていたのだが…。
[銀星]は、実際は[特級]という階級で、独立した命令系統と権限をもつ。
必要であれば、本来の階級を超越して命令を出すことができ、例え[提督]であっても[特級少尉]の命令に従わなくてはならない。他にも数多くの権限を持つのだが…。
そんなとてつもない人物が、目の前にいる。
「ウフッ…。
私はアリア=ブリュンヒルデ特級大佐よ。
ヨロシクね。」
彼女は、そのいかめしい階級に似合わぬ、優しい微笑みで答えた。