それからというもの、私はヒデの看病に徹底した。
正直、私はヒデがかわいそうという思いと、自分が悲しいという思いだけで必死だったんだ。
なのに、ヒデはあんな宣告をされたにもかかわらず、今まで以上に私を心配してくれた。
それに、なぜか月日がたつにつれてとても穏やかな顔になっていったんだ。
私の心を見透かされているようにヒデはいつも笑っていてくれた。
私が元気をあげなきゃいけないのに、逆にヒデに癒されてしまっていたんだ…。
それから、治療はとても過酷なものになっていった。
薬の副作用であきらかに衰弱していった。
顔色は悪く、やせ細り、嘔吐を繰り返す。
それなのにヒデは無理矢理でも笑顔をつくっていた。
そんなヒデを見て、私は心がとても痛かったんだ…。
だから言ったんだ…
『ヒデ…辛いなら辛いって言ってよ。そんなムリして笑わないでよ。』
でも、ヒデは…
『俺の辛さはこれで最後かもしれない、でもミサはこの先、生きていく間に沢山の辛さが待っていると思う。だから、今この一瞬でも楽しく思っていてもらいたい。』
と…。