圭吾と優希は会う度にお互いを求めあっていた。
「優、まだ服着ないで。」
圭吾はベッドから離れようとする優希の腕を引っ張った。
「…こら。圭…ん… 」
強引にキスされ、押し倒される。
「圭吾っ…予備校遅れる…から。」
圭吾は渋々優希から離れた。
「…明日も来ていい?」
ベッドから降りて、トランクスをはきながら圭吾は優希の顔をのぞきこむ。
「うん。明日またしようね。」
優希は圭吾とのセックスに満足していた。
今まで、付き合ってきた男たちは、ガツガツして自分本位でつまらないセックスばかりだったが、圭吾は違っていた。
優希を喜ばせようと、いろいろ試したり、考えたりする。優希もそれに応えようと圭吾に奉仕する。
なによりも、優希にとって、圭吾とのセックスは、受験勉強の息抜きになり、他のことを考えなくてすむ、ひと時なのだ。
夏休みも終わりに近付いたある日、いつものように、優希は圭吾と部屋にいた。
その日、2回目を終え、朦朧とする意識のむこうで、玄関のドアの音がした。
ガチャ
パタン
「…?!」
慌てて二人で服を着る。
トントントン…
階段を昇る足音に、取り乱す。
ガチャ。
パタン。
……
隣りの部屋にハイっていった。
「正希…か…」
「弟くん?俺いちゃやばい?」
シャツのボタンをはめながら圭吾は言う。
「…だね。ごめん。」
部屋を出ようと、ドアを開けると、
「あ″…」
圭吾が立ち止まる。
優希は後ろから覗き込む。
「どした?…あ″…」
そこには、丁度、部屋から出て来た正希がいた。
「ども。お邪魔してます。宮本です。」
圭吾がすかさず挨拶をした。
「…ども。」
無愛想な正希はそれだけ言うと部屋に入って行った。
圭吾を送り出すと、優希はすぐに正希の部屋へ向かった。
「正希、ママ達に変なこと言わないでよ?」
合宿から持ち帰った荷物を片付けながら正希は優希の方を振り返りもせず、
「男連れ込んで、ヤラシイ事してたとか?」
「あのね〜!!」
「一つ、頼み聞いて欲しいんだけど。」
正希は、にっこりほほ笑んできた。
「航と一日デートして。」
訳の分からない事を言い出した。