MURASAME

あいじ  2007-04-23投稿
閲覧数[556] 良い投票[0] 悪い投票[0]

吸血鬼無想?

ソフィアが手を傷つけると、流れた血がレイピアの姿をかたどった。レイナも刀を構えた。
「いくよ」
二人はほぼ同時に駆け出し、その距離を縮めた。レイナは頭を狙い、刀を振るった。しかし、その剣撃は空を裂いた。ソフィアはレイピアを突き立て、レイナの首もとを突いた。
「ぐぅ…!」
間一髪、レイナは首をそらせ、刃をかわした。そして再び刀をとり、斬りつける。ソフィアはレイピアを構え、剣撃をガードした。だが次の瞬間、ガードの隙を縫ったレイナの蹴りがソフィアを吹き飛ばした。立ち上がったソフィアの顔は歓喜で満ちていた。
「うふふ…面白いよ…こんなことを私は望んでいたの」
ソフィアはレイピアを突き立てると、レイナに向かって突進した。レイナもソフィアに向かっていった。レイピアが胴を貫く直前、彼女は身を僅かに逸らし、その刃をかわす。一気に距離を詰め、必殺の領域に入ったレイナの幾重に重ねられた剣撃がソフィアを襲い、その体を紅く染めた。
だが、ソフィアも刃を振るわせ、高速の突きをレイナに浴びせた。二人の体は夥しい量の血で赤く染め上げられていた。そんな凄まじい光景とは裏腹に二人の顔は喜色を見せた。
「あ〜あ…このドレス気に入ってたのに…」
「私だってこのコート、お気に入りなんだから」
二人は微笑み会うと再び剣を構え、斬りつけた。今度はどちらもかわさない。二人は同時に血を吹き出し、尚も斬りつけ会う。周囲が鮮血で赤く染まっていく。ソフィアの右腕が宙を舞った。同時にレイナが血を吹き、倒れた。
「もう…限界?お姉ちゃんは人間だもんね…私はまだ…」
「ソフィア…」
言葉が続かない。意識が途切れかけ、レイナの視界は赤黒く染まりかけた。ふと目を凝らすと、ソフィアの後ろに何かが見えた。
(…なんだろう…あれ…知ってる気がする…)
それは幼い少女のようだった。泣いているように見える。
(あれは…)
「ソ…フィ…ア」
レイナの目に光が戻った。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 あいじ 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ