優希と航は外に出た。
「航くん彼女できたんだって?どんな子?」
「…別れた。」
航はうつむきながら答えた。
「そうなんだ…。ごめんね。変なこと聞いて。」
首を横に振り、少し間をおいて航が口を開く。
「俺、やっぱり、優希さんの事、諦められない。」
「……航くん?」
「夏休み、また会って実感した。忘れられるかと思ってたけど、だめだった。」
「…うん。でも、私、四つも年下の男の子とは付き合えないよ。」
「……そうじゃなくて…」
「…?…航くん?」
「優希さんは、俺の事どう思ってるの?それが聞きたい。」
優希は確実に航に魅かれていた。
ただ、戸惑っていた。
「…正希の友達だし…やっぱり無…」
航は優希の肩を抱き寄せた。
「ちょっ…航くん!?」
「年下とか正希の友達とかじゃなくて、ちゃんと優希さんの気持ちを教えて。今の気持ちを。」
鼓動が高鳴る。航の鼓動も優希に伝わってくる。
「ごめん。…よく分からないの。」
「…何が?」
「航くんの事、気になってしょうがなかった。でも、恋愛感情じゃないかもしれない。」
優希は正直な自分の気持ちを航に伝えた。
「うん。」
「航くんの事、もっと知りたい。」
「うん。」
「…以上。もういい?…」
優希は航から離れる。
「優希さん。」
「ん?」
「俺も、もっと優希さんを知りたい。」
「…うん。」
「とりあえず友達 になって?」
航の言葉に、優希は、はにかんでうなずいた。
「さん付けは禁止ね!航。」
「ん。」
「んじゃあ、呼んでみて?」
「…優希…。」
「うん。」
「そだ。航。受験終わったら、水族館いこ?」
「うん。」
2月
航と優希はメールや電話はしていたが、二人で会うことはなかった。
『N高校、受かった。お祝いしてくれる?』
「うん。じゃあ、なんかご馳走する。」
二人は食事に出掛けることになった。