孤独な現代人(1)

葵 奏弟  2007-04-25投稿
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夢を見た。
あの日の夢を。
残酷な夢を。
私はまだ、あの日のことに縛られている。
太い鎖で、心が重く、沈むくらいに。
過去が私を責め立てる。
あの時の、あの手の感触が残る右足。
私を怨み、憎む声が今も鮮明に耳に焼き付いている。10年経った今でも、忘れられない。
あの日から、私の生活は変わった。
周りからは人殺しと囁かれ、悪魔の子と噂される。
それでも、私は逃げるしか出来なかった。
いくら逃げても事実はかわらない。
そして、自分の汚さを思い知らされる。
自分の汚さを呪うように、私は自分を傷付けた。
腕を切る度に、赤い血が流れた。
痛みが走る。腕から脳へと痛みが伝わっていく。
そして、私が生きていると知る。夢じゃないと思い知らされる。
リストカットは、私にとって“確認”みたいなものになっていた。
そして、また私にとっての地獄が始まる。
辛くて、でもどうすることも出来なくて。こんな自分が大嫌いで。
自分を心の底から憎んだ。そして、私と同じ、汚い大人達を憎んだ。
そうすることで、私は自分を保つことが出来た。
私は一体、何がしたいのかわからなくて、気が付けば私は一人になっていた。

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