「うそ………?」
シュウジがどんな表情でそう呟いたのかはわからない。私は俯いてシュウジの前に立っていた。
言葉を整理して覚悟を決めて顔を上げる。私と同じくらいびしょ濡れのシュウジの不安そうな瞳と目が合った。
「…私…ホントはずっと……好きだった」
身体が震える。
雨に濡れた寒さのせいもあるけど、たぶんそれだけじゃない。
「シュウジが…ずっと……好きだったよ…」
やばい泣きそう。
震える声でそれしか言えない。
もっとちゃんと言うつもりだったのに…言葉が出てこない。
それでもなんとか私は続ける。
「あ、遊びでとか…浮気とかって言って…冗談ぽくウチらの関係…始めたけど…そんなのは、ただの口実で…」
泣きそう。やだやだカッコわるい。
でも俯かない。ちゃんとシュウジの目を見て伝えたい。
「…ホントはシュウジが好きだったから…側に…いたかったから……」
少しの沈黙。
驚いたような困ったようなシュウジの顔。
「ごめんね…こんなの言うつもりなかったんだけど…苦しくなっちゃって…。シュウジ困らせてごめん」
何も言わないシュウジが怖くて、そのまま走って通りに出てタクシーに乗った。運転手は私の様子に奇妙がってたけど、格好を繕う余裕なんてない。自宅を告げて発進した。
涙が頬を伝う感覚。
窓の景色が涙でにじむ。
私は 明日 学校で 笑えるだろうか───。