…天国のような、地獄のような時間を過ごし、ようやくシャトルに乗り込む。
席は個室で、視線に晒されずに済む事にホッとした。
そこで、あることを思い出し、アリアに聞いてみる。
「あの…乗って来られてたシャトルはどうしたんですか?」
すると、彼女はあっさりと、
「あっ、あれ?
あのステーションにあげちゃった。」
「…へっ…?」
「あのシャトル、最新式すぎて目立っちゃうのよね〜。
それにそろそろ次のシャトルが配備される筈だし♪。」
…太っ腹にもほどがある…。
あのシャトルは最新も最新、つい二ヶ月ほど前に発表されたばかりの筈だ。
本来ならあと30年ぐらいしないと、あの辺境ステーションには配備されなかっただろう。
それを[あげちゃった]って…。
『当機はまもなく発進いたします。
席についてベルトを…』
呆れていると、機内にアナウンスが流れる。
(これで、産まれ育ったキク星系ともお別れか…。)
なんとなく寂しい気分になり、ポケットに入れていた一枚の紙を取り出す。
それは、現代では珍しい[写真]と言うものだ。