「あの〜……大丈夫ですか?」「あ、いや、大丈夫ですよ。すみません。」僕が彼女に言わなければならない言葉なのに。「何だかいきなりお尋ねしてしまってごめんなさい。」「そんな事!気にしていませんから。」「そうですか?………すみません」「さっきっから謝ってばかりですね」その台詞で内藤の顔が頭に浮かんだ。あいつも同じ事いってたっけなと花瓶に活けてある大きな花束を見つめていった。「ご両親からですか?」花瓶を指差しながら聞いてみる。そんなことはどうでも良かった。ただなんとか話を続けたかったのだ。「そうですよ。今朝貰ったんです。」「へぇ……」また話が途切れる。
すると彼女が「あの……よろしければ手伝ってくれませんか?」っとベットに寝転がろうとしていた。慌てて彼女の横に近付き衝撃を与えないように背中に優しく手をまわす。『柔らかくて暖かいなぁ……』そう感じている自分が恥ずかしくてまた顔が赤らむ。「ありがとう」「いえ………」
とっさに口が開いた。「あ、あのぅ……おいくつですか?」「17ですよ?あなたは?」笑いながら返答を待っている彼女の顔を見てドキッとしてしまう。「じゅ…16です。」「結構近いんだぁ…誕生日は?」「12月27日ですけど……」「あ、これもまた近い。私12月10日だもん」へぇといわんばかりに口を半開きにしてしまう。
その時、6時を知らせる置き時計の鐘が部屋に響き渡った。「あ、もう面会時間終わりだよ?ここの看護婦さん本当に怖いから。」初めの時と比べて彼女の口調が親しみを込めた喋り方になっていた。
「あ、あの……メールアドレス教えてくれませんか!!!」は?今僕は何をいったんだ?初対面も等しいのに図々しくメアドを求めるとは!?「あ、いえ……なんでもないん…」「いいですよ?さ、早く携帯だして」と素早く携帯をだし、彼女のメアドを赤外線で受ける。その間に彼女は「そういえば名前聞いてなかったよね?」と僕をみる。「あ、すみません……清水和樹といいます。」「和樹か……いいね!」
すると突然ドアがいきよいよく開き小柄で太った看護婦さんが立っていた。「面会時間はとうに過ぎています!!」と言って僕をつまみ出した。慌てて病院を駆け出す。まだ完全に赤外線終わってないのに!恐る恐る画面をのぞき込むと『受信完了』の文字が。これほど現代科学に感謝したことはないだろう。