「ねぇ…ずっと一緒だよね?」
「急にどうした?」
「いいから、答えて?」
「…当たり前だろ?ずっと一緒だよ。」
「うん…」
あたしたちが結ばれた日。ふたり抱き合いながら約束した言葉。ずっと一緒…。
あたしはあなたの側から離れたりしない。あなたもあたしから離れたりしない。
約束。
「覚えてる?約束…?離れないって言ったじゃない…どおして…?」
「…うそつき…」
あの日あたしはあなたの胸をたたきながら子供みたいに泣きじゃくって。
「うそつき…うそつき…うそつき…」
ずっと言ってたね。
あなたはもうあたしを見ることはなかった。
閉じた瞳を開くことはなかった…。あたしを抱き締めてくれたあったかい腕。あったかい胸。
冷たくて…。どんなに泣いても、もう慰めてくれる手はどこにもない。それがどうしようもない現実で、それがどうしようもなく悲しくて、悔しくて、あたしは心の底から叫んだ。
「いやあぁぁぁぁ!!!!」
泣いたなぁ…多分今まで生きてきて一番泣いたわ。
あの時ボロボロのあたしをたくさんの人が支えてくれたよ。家族…友達…いっぱい励まされた。
ありがとう…。
あの時あたしはあなたを責めるばっかりだったよね…本当に言いたい事は言えなかった…。
今なら言えるよ。
「あたしを愛してくれて、ありがとう。あなたは手の届かない処に逝ってしまった…。でもね、あたしの心にはあなたがちゃんといるよ。忘れない。だから大丈夫。愛してる。」
やっと言えた。言えるまで随分時間かかっちゃったけど。
まだ悲しみが無くなった訳じゃない。失った悲しみはこれからきっと忘れられない…忘れたらいけないのかも。
「忘れないよ…」
風が通り過ぎた。あたしのまわりを渦巻くように優しくあたたかい風が。あたしの頬をなでる。そして遠くの空へ吹いていった。