年下の彼14

カトリ  2007-04-28投稿
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航は立ち止まり、辺りを見回した。

3ヵ月前に会ったきりだった優希の声。

ずっと聴きたかった優希の声。


幻聴?


会いたい想いが強すぎて、頭がおかしくなった?

それとも、疲れがたまってた?


駅の構内の人波の中で、目を凝らす。



優希がいた。


優希は亮司の手をはねのけ、航の元に駆け寄った。


「優希??どしたの?こんなとこで。」

同時に優希の後を歩く亮司に目線がいく。


「飲み会の帰り。一緒に帰ろ。」


「弟??俺、亮司。優希ちゃんの彼氏候補。よろしくね。」

亮司は笑顔で航に言った。

航は亮司をにらむ。

「変な事言わないでよ。帰ろ。航。」

「冷たいな。キスまでしたのに。」

「ちょっ!!亮司くん!何言ってんのよ!!」


「いこっ!航!!」


優希は航の手を引き山手線のホームに向かった。


アイツ…最低だ…

「優希、俺、総武線なんだけど…」

「あ…ごめん。そうだよね……」


「……さっきの」

キスしたと言っていた。

「ん?」


彼氏候補…


「彼氏候補なの?」


嫉妬。


「そんな訳ないでしょ。」


不安。


「…キスしたの?」


疑い。


「あんなの事故だよ。」


頭が真っ白になる。


「……」

冷静になれと、思う程、そうではいられなくなる。


「優希、俺の事なんて、どうでもよくなった??」


大人気ない…
最低な質問だ…


「なる訳ないでしょ。私は航を信じて待ってるよ?」

「…じゃあ、証明してよ。」


「…?…」


「優希が、どの位、俺の事を想っているか。
言葉だけじゃ分からない。」


最低な男だ。

優希はきっと呆れてる。

完全に嫌われた。

「航、うち来る?」


「…優希?」


「証明するから。」


航と優希は無言で優希のアパートへ向かった。


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