赤い月 3

akaoni0026  2007-04-29投稿
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「?どうしたんだよ‥‥」
「こ、来ないで‥‥っ」
一歩、また一歩とあとずさってしまう私。
彼の目の中でまた何かが笑ってる。
も、もしかして‥‥彼自身が私を殺そうとしてる!?
確証なんか全然ない。けど、夜の人気のない海岸沿いの公園、赤い月の夜、笑って人が殺される話をする‥‥雰囲気を作って、私を殺す気だ。この状態って、そうゆうことなんだ!!
彼がまた一歩近付いてくる。
「なあ、どうしたって言うんだよ‥‥?」
やはり心配そうな彼の声と顔。けど私は騙されない。そんな演技には‥‥!!
そう思った時だった。
何かの金属音がしたと思うと、彼が目を大きく見開いて──うつ伏せに倒れた。
一瞬の内に予想し得ないことが起き、私の頭は混乱した。
えっ‥‥なに?何が起こったの‥‥?私‥‥殺されるんじゃなかったの‥‥?何で私を殺そうとした雅也が倒れたの‥‥!?
「あ」
油断がなさそうな男の声が、その時した。
しかしその男、何故か今倒れた雅也の足元に、背中を見せて、構え立っていた。手にはなんと、短剣が握られて‥‥。だが今の彼女に、それを正しく認識する力などない。
え!?‥‥えぇっ!?いつ!?いつからいたのコイツ!!ずっと前見てたのに、気付いたら立ってた‥‥!!何なの!?一体何なのよ!?
「あー‥‥大丈夫だって。そんなに怖がることはねぇ」
その男は開いていた足を閉じ、背中を見せ直立のままそう言ってきた。
!!!?ど、どうして顔も格好も見ずに、怖がってるって‥‥!!いや、手に変な剣みたいなの持ってるし、普通は怖がるから分かる、か‥‥
「あぁ?お前頭悪いな。じゃあ俺がお前をいつ見たよ?」
‥‥‥‥‥‥‥。
は?何言ってんのコイツ、意味わかんな──
!!!!!
え!?な、何で!!?何にも言ってないのにコイツ、私の思ってること‥‥っ!!
「最初の答えは、後ろ見てないのに、俺の後ろに誰がいるか、なんてわかるわけねーだろ?次の答えは、あー‥‥何でお前の考えてることがわかるかだが、それは‥‥」
 黒の服に身を固めた白髪の男が、ゆっくりと半分だけこちらを向いた。
「俺が神だからだ」
 赤い月の下、赤い目をギラギラと殺人的に光らせ──どうしようもなく恐怖を抱かせるその男は、神と名乗った。
-続く-



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