台本

ララ  2005-09-22投稿
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……僕は演劇部部長。
演劇には台本が必要………。だからと言って生活には台本なんて必要あるはずがない……。


───それは突然だった。


───突然周りの連中の手に……台本が握られている姿が見えた。そして周りの連中は、その台本通りに言葉を発するのだ。

「どぉもぉ〜。」

同じ、三年演劇部員の この女子の手にも、周囲の目には見えぬ台本が握られていた。もちろん、彼女もその台本通りに言葉を発する。

「や、やぁ。」
「あんた大丈夫?様子おかしいけど。」

彼女は、自分の台本に記されてる通りに口を動かす。
僕は彼女の台本に目を通した。それによると、次の言葉は「あぁ、そうですよ。」と記されてる。じゃぁどう考えてもこの言葉に結び付かない事を言ってやろう………。そしたらどうなるのだろう………。

「他の部員はどぉしたの?」
「………。」

彼女は答えなかった。どうやら僕が計算して物事を話したら、返事は返ってこないらしい。

「どぉもぉ!!!」


今部室に入ってきた彼もまた、同じ三年演劇部員。
………よし、彼で試してみよう。
僕は彼の台本を取り上げた。すると彼はたちまち無口になった。
これはおもしろい。僕はそう思い、また彼の手に台本を戻した。すると彼は口を開きだした。

「俺も部長、なりたかったなぁ………。おい!!!」
「分かってるわよ。」
「これで俺が部長になって、こいつを副部長にする。そんで俺らの目的は果たされる。」
彼は鉄パイプを取り出した。
「こ、殺さないでぇ!!!!!!!!」



「やっぱ台本はつくらなきゃなぁ………。部長、あんたの人生の台本、ちょぉっといじらせてもらったぜ。」




彼の最後の言葉。

───……ぼ、ぼくの……台本。


人の手に握られている本を見たら、ご注意を。

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