私、伊藤里実はいつも近所に住んでる男のコとよく遊んでた。
その人の名前は緒方広。
彼とはずっと一緒だと思ってた。
同じ歳で
同じ場所で・・・
ずっと一緒にいられると思ってたんだ。
でもある日、気がついた。
広は4歳年上で・・私はまだ10歳だった。
でも広は中学生で知らない女の人連れて遊んでた。
幼い頃は恋心なんて気がつかなかったのかも知れない。
だけど彼と女の人が仲良くしてた所見たら
なんか嫌だった。
それが恋だったんだって思った。
何度も思うようになった・・・
私は広が欲しい。
広じゃなきゃダメって。
あきらめた事もあった。
好きになるの、やめようって思った。
けどある日、あることが起こった。
それにより
4歳の年の差は思ったより近いものになった。
***遠い人***?
ある日の夕方、広が公園でうずくまってた。
私は下校中に見つけ、そばに寄ってみた。
「・・広?なにやってんの?」
「あー。里実か」
「なんか暗くない?いつもの広じゃないみたい」
「やっぱ・・?まぁな、いろいろあったから」
「いろいろって?」
すごい暗い表情で軽く笑いながら広はこう言った。
「オレ、留年になっちった」
私はその言葉に思わず顔がニヤけた。
そして思わず・・・
「やったぁ〜!!」
私は嬉しくて大声をあげた。
広はすごく唖然とした顔をしてた。
お互い正反対のまま・・夕日は暮れた。
それは広との距離が縮まること。
運命だったのかも知れない。
「お母さん♪広って留年なんだって!」
「何嬉しそうな顔してるの?やめなさい」
「だって嬉しいんだもん!高校、広がいる高校に私通うんだよ!」
中学受験。
私は広と同じ高校に行くつもりだってけど
年を考えて一緒に通うなんて無理だと思ってた。
だからこそ、せめて広が行った高校に行こうとバカな私は頑張ってるんだ。
「まだ受験終わってないでしょ?バカなこと言ってないの」
「受かるよ!!だって私頑張るもん」
1月の冬。
春にはもうすぐだけど
私にはとっても長い、春までの日。