年下の彼17

カトリ  2007-04-30投稿
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9月も終わりに近付いた頃、航からメールがきた。

《秋季大会の予選一回戦が10/14になったよ。場所はN競技場。11:00から。来てくれる?》


《うん。必ず行くよ。》


優希は、課題のレポートが手に付かなかった。


あと、二週間も航に会えない。


練習で大変なのも、毎日クタクタになっているのも解かっていた。


声だけでも聴きたい。


22:00

優希は航の携帯を鳴らした。


……コール音が鳴るが出ない。


おやすみの挨拶だけでいい。


声が聴きたい。


23:00


もう一度鳴らす。

………

出なかった。


切なくて、
苦しくて…

どうしようもない気持ちになる。


航が好きで好きでしょうがない。


涙が溢れた。


♪♪♪

優希の携帯が鳴った。


着信 阿久津 航


すぐに、出たいが、涙がとまらず、きっと声が震えてしまう…

そう思うと、通話ボタンが押せない。


30秒程なると、電話は切れた。


航…


5分程して、航にもう一度電話をかける。

……

『もしもし?優希??どした??ごめん、何度も電話くれたのに気付かなくて…』


やっと聴けた。


「航…」


『どしたの?優希、元気ない?』


優希って、ずっと呼んで欲しかった。

「ううん。そんな事ないよ。声聴きたかっただけなの。遅くに、ごめんね…。」


航…


『…いや。俺も、優の声聴けてうれしい。ありがと。おやすみ。優希。』

また、涙が込み上げてくる。


「……うん。…おやすみ…ね。」


声が震えないように必死に堪え、電話を切った。


いつから、こんなに航を好きになっていたんだろう。

四つも年下の男の子…
ついこの間まで彼の事をそう思っていた。


今では、こんなにまで愛しい存在。

航を愛している。

ピンポーン


チャイムが鳴った。

もうすぐ日付が変わる時間。


ドンドン!!
ドアをたたく音。

「??!」


「優希!俺!開けて!!」


航だった。



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