白い翼を空いっぱいに広げ、“雲の神アミシア”は大空へ飛び立った。
行き先は、神の山…
神の山には“岩山の神ドラド”が腕を組んで寝ていた。
「ドラドよ…ドラド…」
「なんだ。アミシアか…何の用だ。」
ドラドは眠そうに頭をかきながら、アミシアを見上げた。
「もうじき“闇の神レミロ”と“雨の神ハーシュリス”も来るでしょう…今日は、年に一度の神々の集いの日です。」
ドラドは少し考えた後、はっとして立ち上がった。
「あっ!今年は俺の家での集会じゃないか!何も用意してねえぞ!アミシア!どうしよう!」
アミシアはやれやれといったように翼を閉じると地面に足を付きドラドに歩み寄った。
「ハーシュリスやレミロは何も言いませんが、“火の神ラーガ”や“草花の神アディア”は怒るかもしれませんね。」
ドラドの慌てた態度に、アミシアは思わず吹き出してしまった。
「あはは。大丈夫ですよ…神達はみな広い心を持っています。だれも怒ったりはしません。」
しばらくすると、各地から神々が神の山に集まり始めた。