年下の彼(終)

カトリ  2007-05-01投稿
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優希は、慌てて涙を拭く。


大きく深呼吸してから、玄関を開けた。


「優希、平気?」

「航どうしたの??こんな遅くに。」

「元気なかったから。何かあった?」


優希は迷っていた。このまま、航の胸に飛び込みたかった。

でも、今、弱音を吐いたら航の負担になるに違いない。

「そぉ?別に普通だよ?」


迷った結果、我慢することにした。

会えただけで充分。

会いに来てくれた。


「お邪魔します。上がるよ。」

「えっ…航?」


航はリビングのソファーに腰掛ける。


「…コーヒーでいい?」


「いらない。それより、こっち来て。」


明らかに、機嫌が悪い航。


優希は航の隣りに腰掛けた。


「なんで泣いてたの?俺には言えない事?」


分かってたんだ。

それで飛んできてくれた…


「泣いてないよ?ほんとに何もないよ。」


「……」

航は黙ってうつむく。


沈黙の後にくちを開いた。


「俺、そんなに頼りない?」


「そんな事ないよ。ほんとに何にも…」


「じゃあ、なんで嘘つくんだよ!」
航は怒鳴った。
優希の両肩をグッと掴み、問いただす。


優希は何も言わない。

ただ、涙を流した。


「…ごめん。優希。怒鳴ったりして。」


肩から手を放し、航は、ソファーから立ち上がる。


「…航の…負担になりたくなかったの…。」


「…優希?…」


「ずっと、会いたかった…でも、そんな事言ったら航を困らせる事になるって…だから、我慢してた…。」

航は、優希を抱き寄せた。


「俺だって。ずっと会いたかった。いつも、優希の事ばっか考えてた。だから辛い練習にも耐えられた。」


「頼りないなんて、思ってないよ?」

「うん。」


「好き…」


「うん…

もう泣かないでよ」


航は、優希の涙を拭って頬にキスをした。


「優希、好きだよ。」

耳元で囁いた。



ひと月後、予選3回戦で、航は得点を決めた。



最後まで、読んでくれてありがとう☆続編を予定してます。また観てね☆

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