優希は、慌てて涙を拭く。
大きく深呼吸してから、玄関を開けた。
「優希、平気?」
「航どうしたの??こんな遅くに。」
「元気なかったから。何かあった?」
優希は迷っていた。このまま、航の胸に飛び込みたかった。
でも、今、弱音を吐いたら航の負担になるに違いない。
「そぉ?別に普通だよ?」
迷った結果、我慢することにした。
会えただけで充分。
会いに来てくれた。
「お邪魔します。上がるよ。」
「えっ…航?」
航はリビングのソファーに腰掛ける。
「…コーヒーでいい?」
「いらない。それより、こっち来て。」
明らかに、機嫌が悪い航。
優希は航の隣りに腰掛けた。
「なんで泣いてたの?俺には言えない事?」
分かってたんだ。
それで飛んできてくれた…
「泣いてないよ?ほんとに何もないよ。」
「……」
航は黙ってうつむく。
沈黙の後にくちを開いた。
「俺、そんなに頼りない?」
「そんな事ないよ。ほんとに何にも…」
「じゃあ、なんで嘘つくんだよ!」
航は怒鳴った。
優希の両肩をグッと掴み、問いただす。
優希は何も言わない。
ただ、涙を流した。
「…ごめん。優希。怒鳴ったりして。」
肩から手を放し、航は、ソファーから立ち上がる。
「…航の…負担になりたくなかったの…。」
「…優希?…」
「ずっと、会いたかった…でも、そんな事言ったら航を困らせる事になるって…だから、我慢してた…。」
航は、優希を抱き寄せた。
「俺だって。ずっと会いたかった。いつも、優希の事ばっか考えてた。だから辛い練習にも耐えられた。」
「頼りないなんて、思ってないよ?」
「うん。」
「好き…」
「うん…
もう泣かないでよ」
航は、優希の涙を拭って頬にキスをした。
「優希、好きだよ。」
耳元で囁いた。
ひと月後、予選3回戦で、航は得点を決めた。
最後まで、読んでくれてありがとう☆続編を予定してます。また観てね☆