俺は単身赴任でアメリカへ行くことになった。
会社の同僚にアメリカで気を付けることを伝授された。
1.田舎の州には拳銃を持ち歩いている奴等がウジャウジャいるから気を付けろ。
2.“苦い”と言う言葉を使うな。“ニガー”と言う侮辱発言と聞き間違えられ、相手が悪いと殺される。
3.向こうはゲイ大国だ。もし、求められたら英語で「私はエイズ発病者です。」と言え。
俺はこの3つを確かに胸に刻み、アメリカへ渡った。
渡米して1ヶ月、俺はある店へ行き、ブラックコーヒーを注文した。
向こうのコーヒーは苦い。
でも口には出さない。
俺はちゃんと伝授しているからな。
店を後にし、家路へ向かう途中、ガタイのいい男が現れた。
男は、
「おい。オレと一晩一緒に過ごそうぜ。もし断るのなら・・・」
銃を突きつけてきた。
体中が震える。
恐る恐る、同僚から教えられた“ゲイに求められた時の断り方”を言う。
「私はエイズ発症者です。」
男は言った。
「オレもだよ。」