彼が好きだった…どんな事をされても、彼だけを見てきた。
食事が不味いと殴られ、電話をしている彼に近付き殴られ、寝ている時でさえ殴られた…
それでも、彼を思い続けた。
「そんな男やめなよ。」
友達は、口を揃えて同じセリフを繰り返す。
いいの…私は彼が好きなの…殺したいほど…
そんな彼が、新しい女を作って家を出た。私に何も言わずに。ただ、愕然とするだけ…
彼が私に残したもの…そう。体の、あちこちに出来たアザだけ。
涙も流さず、頭がうちぐたかれた様に白い、白い世界に私は1人…
包丁を片手に、返り血を考え、真っ赤なワンピースに着替え、私は彼の元に向かう。
満月が私に微笑む…