誰かの声

うえ  2007-05-02投稿
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仕事はリストラされ、恋人にも逃げられ、アルバイトの面接も続々と落ち

今夜、自分の部屋で死のうと思っていた。

「ミャー」
飼い猫のミィが散歩から帰ってきた。

ミィ、悪いけど先に逝かせてもらうよ。

ドアノブにベルトを掛け、首にくくりつける。

「母さん、父さん、ごめんね。」

ベルトに全体重をかけようとした時だった。

「マサト・・・。」

・・・!

ドア越しから声が聞こえてきた。

謎の声は続ける。

「生きていれば必ずいいことがあるよ。」

「誰!?」

ドアノブにくくったベルトを外し、部屋から出た。

玄関に向かうミィの姿しかいない。

「ミャー」
ミィは顔だけ振り返り僕を見た。

「さっき散歩から帰ってきたのにまた散歩しに行くのかよ。」

「ミャー」

しばらくミィは僕を見つめ外へ出ていった。

ミィはそれ以来、散歩から帰ってこない。



これは僕が体験した本気の話です。


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