「手どけろよ。」
「今日はダメ。またいつか見に来て。」
ありえねぇだろ。
そんなんのためにわざわざ来るかっつーの。
でもまたユカリがあの目で見つめてくる。
諦めるしかねぇな。
「わぁったよ。見ない。じゃあ行こうぜ。」
背中を向けて歩き出すと、ユカリが小走りで追いかけて来た。
「いつか見に来てね。」
「絶対来ない。」
「もぅ……。」
小さく嘆息するユカリを見下ろし、手を差し出す。
ユカリがその手を握った。
違うって。
「バカ。手じゃなくてプリクラだよ。1枚ちょうだい。」
「なんで?」
なんでって……なんつーか、記念?
やっぱまともに撮ったの初めてだし。
ユカリとの初デート初プリクラだし。
ってこの言い方じゃまた次があるみたいだな。
「別に。1枚くらい良いじゃん。どっか貼っておく。」
ユカリは少し考えた末に首を振った。
「ダメ。リョウに渡すと危ない。絶対テキトーなとこに貼って彼女にバレちゃったりするのよ。」
だから、ガキ扱いすんなよ。
そんなヘマしねぇし。
つーか、見られても別に良いんだけど。
彼女って言っても……今日1日、一度も思い出してないくらいだし。
彼女か………
俺はなんとなく、ユカリの手をしっかりと握りなおした。