『なにしてんの?』
「カラオケしてた。もぅ帰るよ。」
『誰といんの?』
「え?友達。」
『女?』
なぁんでそんな機嫌悪くなんの?
レンこそ今誰とぃるのよ。
「男だけど……。」
小さく呟いた時、
「レン〜〜早く行こうよぉ。」
甘い女の子の声がした。
携帯を持つ手を下ろして立ち止まる私。
でもそれはショックのせぃだけじゃなくて。
今の―――声が2重に聞こえた。
携帯と同時に、右側から………
怪訝な顔のカズヤを見てから、私はゆっくり声がしたほうを見やった。
斜め前にあるゲームセンターの入り口。
露出激しい派手な女の子が身をくねらせている。
その隣にしゃがみこんで携帯を耳に当ててるのは――
「レン……。」
私はまだ繋がっていた携帯を切った。
険しい顔で携帯を見るレン。
その上から女の子が覆い被さった。
触んないでよ……
声より先に出そうになる涙を、必死にこらえる。
レンの周りにいつものツレはいない。
つまり合コン終わってあの子と二人きり。
早く行こぅって…どこ行く気?
なんて聞かなくてもわかるけど。