8時。
哲也は先に目が覚め、奈緒の寝顔を見ていた。
奈緒も目を覚ます。
「…おはよ…哲。」
「おはよ。奈緒。」
朝から濃厚なキスをする。
自然な流れで、2人は裸になる。
「あ゛〜…」
哲也が何かを思い出したかのように顔をしかめる。
「何?どしたの?」
「昨日、ゴム全部使ったから、ない。ショック…」
「外で出してくれればいいよ?」
奈緒は哲也の首に手を回す。
「そういう訳にはいかないの。…俺の指と舌で我慢して。」
「…んっ。…じゃあ、哲のは、ちゃんと、私が出させたげる。」
2人は満足すると、一緒にシャワーを浴び、ホテルを出た。
車で、ショッピングモールへ行き、買い物を済ませ、自宅近くの図書館へ行き、レポートを済ませ、奈緒は送られる。
「送ってくれてありがとね。バイト頑張って。」
「おぅ。付き合わせて悪かったな。」
車を見送り家に入る。
ハタから見たら、普通のカップルに見えるだろう。
私も、たまに錯覚する事があった。
でも、違う。
数日後。バイト帰りに、梶原が声を掛ける。
「奈緒ちゃん。明後日、休みでしょ?」
「はい。」
「映画いこ?俺、昼で学校終わるから。」
「行きます☆」
「んじゃあ、1時に有楽町の映画館の前でいい?」
「はい。」
初デートの約束をした。
約束の時間より10分程早く映画館に着く。
そこには梶原がすでに立っていた。
「早いね。」
「梶原さんこそ。」
「昼は?食べた?」
「まだです。」
「じゃ、なんか食べよ。何がいい?」
「う〜〜ん…パスタ!」
「よし。いいとこあるよ。行こっ。」
梶原は奈緒の手を引く。
新鮮な気持ちになった。
ドキドキが心地よくて、手を握り返す。
「そうだ。奈緒ちゃん、俺に敬語はやめてね。」
「…うん。なんて呼べばいい?」
「なんでもどうぞ。んじゃあ、俺は奈緒って呼んでいい?」
「うん。じゃあ…健くん、て呼ぶ。」
初々しい…。