もしこの願叶うなら。
二十歳を迎え、成人式へと向かう昼空。
久しくあっていない級友、みんなどうしてるのかな?
空は気まぐれな快晴を振り撒き、昨日の緑雨を微塵も感じさせない。
集合場である講堂、このような機会が無ければ行く場ではない。
地元人のくせに親に場所を聞いてしまった。
せっかくなのでリッチにタクシーを捕まえ着物姿にて乗り込む。
明らかに方向が違う、、。
運転手に確認する。
「ごめんね、もう帰さないから、、」
そこで始めて自分は拉致されたのだと気付く。
下手に暴れて殺意を持たれるのも釈なので、黙って連れ去られることにした。
どこまで連れていくのか問うてみるが。
無言をつらぬく彼。
長期戦になりそうだ。
、、都合良く検問に遭遇。
でかした!昼間からご苦労様♪♪
さぁ〜助けてくださいな♪♪
彼の動揺は手に取るようにわかり、見えない汗が出てるのであろう。いいきみだ。
突如私は跳ね飛ぶ、、!!
何が起こった!?
彼はアクセルを吹かし検問を突き破る、あぁ〜ヤケクソか!!
案の定パトカーが追い掛けてくる、とりあえず最悪の状況を考え包まってみる私、、。
レースは始まり、体感したことのないスピードで街が通り過ぎて行く。えっと、、恐いんですけど、、。
民家の植木は知らぬ存ぜぬ、誰も助けてはくれない。
次の瞬間激しい衝撃と口中を切ったのか血の味が舌を刺激する。
遠ざかる自分を不思議に思いながら破損した車体と電柱を見つめる、、。
死ぬ前に一言だけ、、次生まれ変われるなら好きだった貴方の彼女にしてください。
今回は間違った愛情表現だったけど、学生の時は貴方のことが好きでした。
車のガラスに顔を埋め息絶えている彼。
大好きな彼、、さようなら。