☆先に年下の彼と約束の時を読んでね☆
『航、会いたいよ…』
電話の向こうの寂しそうな声。
「ん゛〜。明後日から試験で、終わったら合宿なんだよ……帰って来たら会お?」
都大会の準決勝で惜しくも敗北。
シーズンオフになったら、少しは構ってもらえると思っていた。
『合宿って、いつまで??』
試験前でも、毎日遅くまでの練習は変わらずある。個人練習も欠かさない。
「冬休み中だよ。…っていっても、学校内の宿舎だけどね。」
こんな感じなので2人の恋に進展はなかった。
『合宿終わってからって!!じゃあ、クリスマスもお正月も会えないの!?』
今度は怒り出す優希。
「ん〜…分かんないけど、休みになったら、帰るから。怒らないで??」
航がサッカーバカなのには、慣れてきた。
『…じゃあ、冬休みは、合コン三昧と行くかな。』
それでも、気を引きたくなる。
「ちょっ…!!優希!!マジで?!」
そして、やっぱり会いたい。
『冗談だよ。…ねっ。航。』
会って、航に触れたい。
「ん?」
『好きだよ。』
私にも触れてほしい。
「俺も、好きだよ。優希。」
駆け引きに出てみる。
『本当?だったら、合宿に入る前に、私に会いに来てね!来てくれるよね??』
「…優希〜…マジで??俺に赤点取れって?」
『お姉さんが、勉強見てあげるから。ねっ☆』
「…考えとく…」
きっと来てくれる。
次の日。
航は部活帰りに、優希のアパートに寄った。
「お邪魔します…」
二週間ぶりに会う。
「どうぞ。」
航はソファーに座る。
ソファーの前のテーブルには、優希が勉強していたらしく、テキストやノートが散乱している。
「もしかして、優希も試験??」
キッチンでコーヒーをいれながら、しかめ面で答える。
「う゛ん」
「だったら、人を呼んでる場合じゃないっしょ…」
「だって、航の事ばかり考えちゃって、勉強が手につかないんだもん。」
航は溜め息をついた。