『達也‥。っ‥。』
あぁ〜また始まったよ!なんて思いながら、嬉しいクセに困ったような笑顔であいつの涙を見るのが俺の日課だ。あいつってのは、一ノ瀬美月。俺の幼なじみであり、恥ずかしながら初恋の女でもある。残念なことに、美月の初恋の相手は俺じゃないらしい(って言っても初恋は保育園の先生なんて‥全く‥)が、結構前から美月が俺のことを好きなのは知ってる。
でも、幼なじみやし今さら恋人になるとかも恥ずかしすぎて無理やから、お互い普通にしとった。それで全然幸せやった。
あいつは何を考えてんのか、5年経った今でも俺の写真を抱いて泣いてる。
俺の意地悪のせいかな?そろそろ意地悪やめた方が良いよなぁ。
そう思っていたら、急にとてつもない恐怖に襲われて体がガタガタ震え出した。こんな暑い夏の夜にも関わらず。涙が溢れ出て、思わず「いやだーっ!」と叫んだ。
焦って口を抑えるけど、隣では美月が静かに寝息を起てて眠っている。
‥なんや、聞こえるわけないし‥。
俺はただずっと、美月の寝顔を眺めていた。