次の日
俺は決めた!
意地悪はもう、終わりにする。せめて、あと一ヶ月だけ。そしたらもう、俺は行くべきところへ行く。そう決めた。
高校受験のとき、美月は志望校に落ちた。
合否の結果を知ったあと、美月は力なく
『達也が死んじゃうからじゃん。』
と呟いた。
俺はこの時から、美月のために何か出来ることをしようと思った。でも幽霊の俺には、笑わせて元気づけようとも、こんな簡単なことすらできない。
美月は行きたくもない高校に通うことになって、毎朝泣いたりむしゃくしゃしたりしていた。それを見ていた俺は、たまらなくなって後ろから美月を抱き、「頑張れ!美月!」と囁いた。
すると、美月は急におとなしくなり、落ち着いて学校へ行く準備をしたんだ。
そう、これが幽霊になった俺の特別な力。
当然、美月は俺に気づくはずもなかったが、俺がそうやって美月を励ます度に、美月もどこかで俺を感じているのがわかった。
そうこうしているうちに、あっという間に5年も経ち美月は今、志望通りの大学に通っている。
美月は髪も伸びて、随分大人っぽくなり、綺麗になった。
今でも昔のことをよく思い出す。
保育園で楽しそうに門倉(例の美月の初恋の‥)と話してるのを、ブランコで遊ぶフリしてじっと見ていたり、小学校に入学してから最初の方は、行きも帰りもランドセル並べて手繋いで行ってたっけ?小6の時はお互い好きって知ってから、気まずくなって全然しゃべらなくなって、中学で美月が野球部のマネージャーすることになって、やっと口聞いてくれて。
それからあの時もあの時も‥美月との思い出は15年間で数えきれないほどある。
いつだって俺は美月を見ていた。
俺の思い出はたった15年で止まっちまったけど、お前には俺の15年間はどう写ってる?【続】