タイムリミットが刻々と近づいてくる。
7月7日まで、あと半月。
俺は最後の思いを込めて、できるだけ美月に力を送った。
俺は死んだから、見た目は5年前のままだが、美月とこうやって過ごすなかで大人になろうと頑張ってきた。
美月が毎晩泣く度に、優しく、時にはきつく抱きしめた。
美月を励ますつもりが、いつしか臆病な自分を励ましていることには気づきもせず‥。
今日は珍しく、美月が友達らしき人と長電話をしている。
疲れてきたのか、スピーカーモードに切り替えて話し出した。
会話は丸聞えだ。
どうやら友達の恋話の相談に乗っているようだ。
「どうしよう‥もうダメかもしんない。彼氏、他に好きな人が出来たって。」
『‥。』
「美月?聞いてる?」
『あぁごめんごめん!まだ、別れようって言われてないんだから、もっかいちゃんと話し合ってみたら?』
「でも、そういうのうまく言葉に出来なくて。」
『私なんて、言葉に出来ない思いどれだけあっても足りないよ。泣いても泣いても、達也は二度と戻らない。忘れられるわけないし、もう私は限界だよ!』
小さな呟きが荒々しく言い放たれて、静まりかえる。
美月は我に返って、電話越しの友達に泣きながら何度も何度も謝った。
ごめんね‥ごめんね‥っ、っ。
友達も泣いて謝まり、電話を切った。
俺はそっと美月の頭を撫で、涙を堪えた。
辛いのは、俺だって同じなんだよ。