片想いから実まで。

天空白奈  2006-02-17投稿
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君の名前は隼人。

私の名前は瑞希。

私と隼人とは幼馴染みで友達同士。

でも実は私は隼人に思いを寄せている。

そんなある日。

私は母からあることを告げ知らされた。

「りゅうがくぅ!?」

「隼人くんのお父さんが外国に勤めることになったんだってさ。まぁお金持ちはやることすること違うね?」

「…い、いついくの?」

「今日。あと二時間後に飛行機はここを発つわよ?」

私はひどく驚いた。

私は隼人と一緒の高校にいくからと約束をしたのに‥‥。

それに何故私に留学のこと教えてくれなかったんだろう。

私のことが嫌いだから?

「お母さん。どこの空港?」



私はタクシーを急がせて羽田空港に向かった。

腕時計の針は一時を過ぎたところだ。

あれから一時間半も過ぎたらしい。

残り三十分。

これなら間に合う。

「お客さん、まずいですねぇ。渋滞です。」

気づけばタクシーは大きな渋滞の中にいた。

私は仕方なくタクシーの運転手にお金を支払い、走って空港に向かう。

あと五分というところで空港に到着。

私は隼人を探す。

探していると後ろから低い声が聞こえた。

振り返れば隼人がいた。

「隼人!」

「瑞希?どうしてここへ?俺はお前に教えてなかったはず‥‥。」

「今朝お母さんに聞いた。‥‥隼人、私のこと嫌い?」

「…へ?」

思わず口にしてしまった。

一度言い出すと止まらない口は、どんどん思っていたことを吐き続ける。

「隼人は私のことがウザいんだ!隼人は私ことなんかどうでもいいんだ!隼人は──」

涙がボロボロこぼれる中、唇になにかが触れた。

それがキスされていることに気づくまで時間はかからなかった。

「隼人?」

「瑞希‥‥俺はお前が好きだ。だからこそ言えなかったんだ。でも瑞希がここに来てくれたとき、正直嬉しかった。」

隼人は私に抱きつき、私を泣き止ませた。

「絶対に破らない約束をしよう。瑞希、俺が日本に帰ってきたら結婚してくれ。」

私は再び泣き出した。

でも今度の涙は嬉し泣きだ。

「‥‥はい!こんな女でよければ。」



この日を境に片想いから両想いへ。

そして大きな実が甘く熟した。



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