君の名前は隼人。
私の名前は瑞希。
私と隼人とは幼馴染みで友達同士。
でも実は私は隼人に思いを寄せている。
そんなある日。
私は母からあることを告げ知らされた。
「りゅうがくぅ!?」
「隼人くんのお父さんが外国に勤めることになったんだってさ。まぁお金持ちはやることすること違うね?」
「…い、いついくの?」
「今日。あと二時間後に飛行機はここを発つわよ?」
私はひどく驚いた。
私は隼人と一緒の高校にいくからと約束をしたのに‥‥。
それに何故私に留学のこと教えてくれなかったんだろう。
私のことが嫌いだから?
「お母さん。どこの空港?」
私はタクシーを急がせて羽田空港に向かった。
腕時計の針は一時を過ぎたところだ。
あれから一時間半も過ぎたらしい。
残り三十分。
これなら間に合う。
「お客さん、まずいですねぇ。渋滞です。」
気づけばタクシーは大きな渋滞の中にいた。
私は仕方なくタクシーの運転手にお金を支払い、走って空港に向かう。
あと五分というところで空港に到着。
私は隼人を探す。
探していると後ろから低い声が聞こえた。
振り返れば隼人がいた。
「隼人!」
「瑞希?どうしてここへ?俺はお前に教えてなかったはず‥‥。」
「今朝お母さんに聞いた。‥‥隼人、私のこと嫌い?」
「…へ?」
思わず口にしてしまった。
一度言い出すと止まらない口は、どんどん思っていたことを吐き続ける。
「隼人は私のことがウザいんだ!隼人は私ことなんかどうでもいいんだ!隼人は──」
涙がボロボロこぼれる中、唇になにかが触れた。
それがキスされていることに気づくまで時間はかからなかった。
「隼人?」
「瑞希‥‥俺はお前が好きだ。だからこそ言えなかったんだ。でも瑞希がここに来てくれたとき、正直嬉しかった。」
隼人は私に抱きつき、私を泣き止ませた。
「絶対に破らない約束をしよう。瑞希、俺が日本に帰ってきたら結婚してくれ。」
私は再び泣き出した。
でも今度の涙は嬉し泣きだ。
「‥‥はい!こんな女でよければ。」
この日を境に片想いから両想いへ。
そして大きな実が甘く熟した。