「ちょ、ちょっと宮岸くん!そこはデリケートな部分だよ!」
幸四郎が面白そうにほのかを制止した。
「え?学長、どういうことですか?」
「いや、まあ、あ!報酬だよ報酬、はい千円」
幸四郎の手に乗せられたのは千円札だった。
「四日間もかかったのにひとり五百円は安い気がするなぁ〜、どう思う?」
学長室を出てほのかは報酬にクレームをつけた。
そして先ほどうやむやにされたことについて幸四郎に問い詰めた。
「というか、さっき言ってたデリケートな部分てどういうこと?」
「ああ、あれ?この学校の改修作業の時に必要なんだって、それ以外は聞いてないけど」
「どこがデリケートなのよ」
「さぁ?学長がこれはデリケートな問題だからって、依頼されたときに」
「わけがわからん!」
学長がなんのために校内のヒビを測らせたのか。
ほのかは知りたくなったが幸四郎に聞いても無駄だと悟った。
ふたりがエントランスのテーブルについた時、横には正と凛がすでに座っていた。
「や、山ノ井幸四郎!」
驚いて幸四郎は反応した。
「なになになに?あ、柳さんお久しぶりです」