MURASAME

あいじ  2007-05-05投稿
閲覧数[518] 良い投票[0] 悪い投票[0]

邪龍?

天馬は出雲に向かって急いだ。邪龍の動向も気になったが、今は何よりも「龍の巫女」の可能性がある巽美優を連れてくることが先決だと思われた。
(しかし、美優ちゃんが龍見真白の子孫である確証は殆どない。もし…間違っていたら…)
彼はその考えを打ち消し、一路出雲を目指した。


巽の家を見つけるのに時間はかからなかった。天馬は客室で待たされ、しばらくすると美優とその祖母らしき人物が姿を現した。
「ええ、確かに私達は旧姓を龍見としておりました」
美優の祖母ははっきりと言った。
「やはり、あなた方が龍の巫女の末裔なのですね」
祖母は頷くと美優の方を見て言った。
「龍の巫女とは千年に一度現れる邪龍を祓い、天に還すことを役目とします。邪龍を鎮める為に、巫女は舞を踊り、真言を唱え、その命を浄化します…その他にも龍脈を調べ、吉兆を占うなど帝都に対しても尽力してきました」
天馬は頭を掻くと隣に座っている美優を見た。珍しく緊張しているらしい。
「それで…協力して頂けるんでしょうか?」
天馬の言葉に祖母は優しく頷いた。
「勿論でございます。この私がその役目を担いましょう」
その言葉に美優が思わず叫ぶ。
「ちょっと、おばあちゃん!大丈夫なの?」
「あら、私まだ82歳なのよ。若い人には負けないわ」
屈託のない顔で笑う祖母だが、天馬はその言葉に不安な気持ちになった。
「おばあちゃん…この前、神経痛で病院運ばれたよね…」
美優の言葉が冷たく祖母の胸に突き刺さる。美優は一息つくとはっきりと言った。
「私がやります。おばあちゃんじゃ心配だもの」
「…美優ちゃん…出来るの?」
天馬はさらに心配にかられ聞いた。
「大丈夫!小さいころ習ったことあるから」
無邪気に笑う美優の顔に天馬は恐怖を感じた。
「仕方ないわね…美優、いらっしゃい。今から龍見の舞をたたき込んであげます!」
祖母はそう言うと美優を引きずり、奥へ消えていった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 あいじ 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ