過ぎゆく時の中で〜vol.4

真希  2007-05-05投稿
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声のする先へ薄暗い奥部屋へと向かった。
(さぁ、ここえ)
言葉の主は、ゆったりとしたレザー張りのソファーに腰かけている。年のころ40代前半だろうか
?黒く大きな帽子からは、レースが垂れさがり、顔を覆ってよく見えずノースリーブの腕から指先まで黒いレースが肌の露出を妨げていた。まるで外国の葬儀に出席するような出で立ちだった。
(そこへ座りなさい)

そう言うと、対面した椅子を指さした。俺は、この密室での非現実的な空間で、平常心を保つのが精一杯だ。震える足を悟られまいと、両手で押さえ料金の説明を始めた。それを遮るように、婦人は口を挟んだ。
(本番行為に決まっているわ)
十畳もっとあろう、この部屋に一際目立つようにベッドが置かれていた。
それは前にアジアンリゾートで見かけたような四つの柱に支えられ、天井からカーテンのような物が上半分を占めるムードある作りだ。
これが新婚初夜なら、これから始まるだろう行為も期待に胸を膨らますものだが、今この現実は黒く覆われ、実体の分からない婦人との関係なのだ。
想像すると目眩を覚えた。

(あなたはお金の為なら、どんな事でも出来るの?)

そう言うと視線を移し先に置いてある黒いバッグを指さした。vol.5に続く

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