病院に着くと、すぐに手術が始まった。
奈緒はひたすら待った。
1時間…
2時間…
3時間…
と時は過ぎてゆく。
待つこと6時間
ようやく「手術中」のランプの明かりが消えた。
中から1人の医者がでてきた。
「先生!!」
奈緒はとっさに叫んだ。
それから少しの沈黙があり、先生は重い口を開いた。
「一命はとりとめましたが、出血がひどくいつ意識が戻るかわかりません。」
「悠くんの病名は…?」
「…いえ。松田さんは病気ではありません。」
「…え?」
「背中にナイフのような物で刺されたあとがあります。おそらくそれが原因でしょう。」
奈緒は全く状況がつかめていない…
警察官に署まで連れていかれた。
でも、奈緒は
「1メートル先で悠くんが倒れた…悠くんが…」
としか言わなかった。
困った警察は、最終的に通り魔の犯行と断定した。
このあたりではよくあることらしい。
実はあの時、人混みに紛れて恵里が悠の背中をナイフで刺したのだ
奈緒は一晩考え、それに気付いた。
「まさか…」
奈緒はいてもたってもいられなくなり、休もうと考えていた学校に急いで向かい、恵里のもとに駆け寄った。
「今はこんな奴、怖くない」