「宮岸くんどお〜?」
“ジンジャエール”を飲みながら女子トイレの外から幸四郎は呼びかけた。
「全然見つかんなーーい!」
「えぇー!そんなことないと・・・・・・・・・ぷはっ、思うん・・・・・ん・・・・・・・ぷはっ、だけどなぁ」
「飲みながら喋らないでよ!もう、無いよ、カメラ!」
トイレから出てきたほのかは汗をかいていた。校内図を見ながらぼやいている幸四郎にほのかはさらに声を潜めながら怒鳴った。
「なによなによ、自分は入れないからってみんなわたしに任せてさー。山ノ井くんがそんなに人使い荒いなんて思わなかったなー」
幸四郎は不意にハンカチでほのかの額を拭いた。
「お疲れ様、大丈夫、また探せば良いよ」
ほのかは嬉しさ半分驚き半分で吊り上がりそうな唇を抑えた。
「ありがと」
もうすっかり夜だった。校内の警備システムは学長の権限で切ってあった。無論、二人以外誰もいない。
「ね、ね、もしかして犯人が全部回収した後なんじゃ・・・つまり、もしかしたらまだ犯人が学校にいるかも!」
幸四郎はほのかに向き直った。