『ずっと好きでした!』
スラッとした長身に甘いマスク。
ずっと憧れて止まなかった先輩にやっとの思いで伝えることができた。
高鳴る鼓動。秋の夕暮れに染まった綺麗な顔を、まともに見る事が出来なくて…俯いたまま彼の返事を待っていた。
フッ…。
?
笑っている?
私が顔はそのままで目だけをその声に向けると、視界に入って来たのは苦笑いを浮かべた先輩だった…。
『冗談だろ?そんな男みたいな顔して、まじシャレになんないんだけど』
男みたいな顔…。
オトコミタイ…。
その言葉で一瞬にして凍りついてしまった私の身体。
彼が去って行く足音がする。誰もいない体育館裏で、私は、ただ一人立ち尽くしていた。
あの日から、決めたんだ。私はもう、誰も好きにならないって。