あまりに自然すぎて、自分自身が気付かなかったんだ。
その言葉の不自然さに。
セフレは―――セックスするだけ―――だろ……
「なんつって……。」
小さく呟きながら、商品に目を移す。
ユカリは何も言わずに歩き出した。
その背中は毅然としてて、なんとなく距離を感じる。
今どんな顔してんの?
笑ってる?
困ってる?
「リョウ!どれにする?」
アルコール売り場の前で振り向いたユカリは、いつも通り微笑んでいた。
「あぁ……。」
俺も、何もなかったように返事をする。
そうしていれば、気付かなくてすむと思った。
何もなかったことにできると、思った。
それでも―――胸のざわつきが収まらないんだ。
買い物を済ませた俺達は、並んで夜道を歩いた。
両手にスーパーの袋って、かなりダセぇ……
隣ではユカリがずっと笑ってるし。
「リョウすごぃ似合わないっ!」
「ぅるせっっ!!」
「1個持つわよ。」
「いいよ。」
「いいから。」
「いいっての!結構重いし……あっ。」
バッ――
ユカリが俺の手から無理やり袋を奪った。
そして、あいた俺の手に自分の手を絡める。