フワッと寄りかかってくるユカリ。
俺の腕に頭をつけて小さく囁く。
「あったかぃ。」
やべぇ。
慣れないことするんじゃなかった。
どぅ反応したらいいかわからなくて――
とりあえず握っている手に力を込めた。
満月を見ながら歩く帰り道。
街灯の下を通れば寄り添う影が映る。
肌を通して伝わる温もりと、
鼓膜を打つ柔らかな歌声。
あ、これ―――今日観た映画のエンディング曲だ。
映画のシーンと共に頭に浮かんだのは………ユカリの泣き顔。
無意識でユカリの顔を覗き込んだ。
俺に寄っ掛かって目を閉じたその顔は、穏やかな笑みを浮かべていて―――\r
良かった…
思わず息をつくと、ユカリが目を開けた。
「ん?」
まばたきをして首を傾げる。
なんでもねぇよ。
その一言が出てこなくて――
唇を重ねた。
頬を撫でる冷たい夜風。
触れ合っているのは唇と手のひらだけなのに
なんでこんな
あったかぃんだろ。
歩き慣れたいつもの道が、まったく違う世界に見えた。