たった一つの真実 10

 2007-05-06投稿
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『夏 10』


宏介に理子、お似合いの二人の中に居るのが なぜか嫌ではなく 心地いい。
どうしてなのかは 今でもわからないが 宏介と一緒の時は不思議といつも心地が良かった。

理子もお喋りが好きだ。その日は調子の悪い宏介よりも理子と たくさん話しをした。 宏介がトイレにたった時、理子が真剣な眼差しで 宏介の事を 宜しく頼むね。と言った。
「宏介 友達が出来たって嬉しそうに はじめ君の事、話すの よっぽど嬉しいのよ。」

ずっと一人で関西のほうにいた事もこの時 理子から聞いた。

僕はこの時 理子の言葉の深い意味は判らなかったが 宏介が僕の事を友達と言って 喜んでいることが何より嬉しかった。

食事はとても美味しかった。本当にどれも旨かった。宏介も二人の食べ物に箸を付けたが それより旨そうにホープを吸っていた。

「はじめ もうええのか」

宏介は いつも自分は、あまり食べないのに 人にはあれもこれもと進めみたいだ。 その証拠に その時も理子に 自分は食べないのに と叱られていた。

宏介は顔色の悪い その眼差しで僕をみると

「はじめ、今日はこれで、また、遊ぼう」
そう言った。

「はい。宏介さん 明日 仕事ですし また今度 誘って下さい」

僕は本心では まだ宏介と一緒にいたかったが、つらそうな宏介の顔を見ると そう言って帰る事にした。

「理子さん 本当にありがとうございました。」

理子は今度は はじめ君の彼女も連れておいでね。と言った。
僕と宏介は昔からの親友…いや いたずらっ子のように目だけで笑い 宏介が
「そうしろよ」
僕が
「そうします。」
と答えた。
勿論、理子には何も気取られないように。

支払いは また宏介だ。この時 宏介がお金をよく持ってるな と思った事をはっきり覚えている。
店の外に出ると宏介は理子の車の助手席に乗り込んだ。
理子は女性では珍しいく 三菱の大型スポーツカーに乗っていた。宏介は理子がエンジンをかけるとサイドウィンドを下ろして 「明日は仕事休むかも」そう云い 理子に車を出すように顎をしゃくる。
僕は理子の車が 走り去ってから自分の車に乗り込んだ。元気のない宏介だったけど 理子の前だと喋りにくいのかな、と僕はその時 考えていた。

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