決断

堂本エリ  2007-05-07投稿
閲覧数[502] 良い投票[0] 悪い投票[0]

高校三年生。
進路を控えた男と女。
もうすぐ18歳。
男は背が高く、整った顔立ちで、オシャレなパーマと服装がよく似合った。
女は背が低く、力のある目と古着系のファッションが目立った。
放課後、たまたま隣の席に座り、最初は言葉を交わすことはなかった。
第一声は女から。
「どっから来てんの?」
「桜町。」
沈黙。
次に男。
「電車で来てんの?」
「歩き。すぐ近くやから。」
「そうなんや。」
少し小声で女。
「一人暮らしやねん。」
「まじで?」
「うん。」
「実家は?」
「京都」
少しの会話。
元々無口な男。
話が好きな女。
お互い一見おとなしそうだが、異性ということで気にすることはなかった。
先生が後ろから来て
「二人は友達になったのね。」
二人「まぁ…。」
「名前は覚えたの?」
名前を明かしていなかった二人。
男「坂下晃デス。」
女「三上彩乃デス。」
ぎこちない挨拶。
その日は他愛もない会話のまま、一緒に帰ることになった。

男「アドレスとか…教えよっか?」
女「…うん。」
女は男の上から目線に少々腹を立てながらも納得。
この日の会話はそれだけ。

夜。
女は勇気を持って男にメールを送った。
『初メール★ギャル文字読める??』
それくらいしか見当たらなかった。
少しして
『読めると思うけど、使うん?』
素っ気ない文字でも嬉しかった。
『みんなからなんて呼ばれてる?』
『あだ名はないけど、呼び方は何でもいいよ。』
『じゃあ、下の名前で呼んでいい?』
『いいよ。じゃあ、僕もそうしていい?』
『いいよ。』
単純な内容だが、親交を深めていくには必要なことだ。
男『明日、予定あるん?』
『ないよ。』
『どっか遊び行かへん?』
女は嬉しかった。
『行きた〜い!』
『彩乃はどっか行きたい所ある?』
『特にないけど、晃は?』
『ないな〜。つか、彩乃の家行ってみたいんやけど、あかんやんな?』
女は困った。
でも、女は男を求めた。
この際何が起こってもいい。

『いいよ。』

このメールさえ送らなければ、この二人の人生はもう少し平坦なものだったのかもしれない。
これから始まる二人の物語は、一体何を意味するのか。
どこの誰にも、本人たちでさえも分からない。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 堂本エリ 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ