「本当おぃしそぉに食べるなぁ〜って。」
「だってうまいんだもん。」
「嬉しい。」
不意にユカリが俺の方へ手を伸ばした。
柔らかい手つきで頭を撫でる。
その目は愛情に満ち溢れていて………なんつーか犬になった気分?
その綺麗な顔が乱れるとこが、見たい。
グイッと腕を引っ張りユカリを抱き寄せる。
耳元で囁くは甘い言葉。
「デザートもおぃしく食べてやるよ。」
またバカっ!かな。と思ったらユカリの手が動いた。
殴られる!
軽く身構えた俺の背中に回る細い腕。
首筋に触れる柔らかい唇。
耳元で囁かれた言葉は、
「食べて…」
やられた――
なんか今日はダメだ……完敗って感じ。
もう我慢できねぇ。
その場で押し倒そうとしたら、ユカリはするりと腕から抜け出た。
「あ?」
押し倒そうとした姿勢のまま見上げると、ユカリがハンバーグをつついている。
「まだメインを食べ終わってないでしょ。」
どっちかっつーとお前がメインなんだけど……
止められず近づけた唇にハンバーグを入れられる。
ハァ……
仕方なく食べ始めた俺の横でユカリは立ち上がった。
「シャワー浴びてくる。全部食べてね。」
さっさと浴室に入っていくユカリ。
残された俺は、とりあえずテーブルの上の料理を端から順に食べ尽くすしかなかった。