僕の声が聞こえるまで?

さくら  2006-02-18投稿
閲覧数[370] 良い投票[0] 悪い投票[0]

君なら心で聞こえているはずだ。僕が話す声が。緊張して震える声も恥ずかしくてわざとかつぜつ悪くしゃべる声も。そして何より僕の心の声を……                 「お疲れさまでぇす!」夜11時にいい慣れた台詞を言うと僕は家に向かって足どり重く歩いた。その時携帯が鳴った。着信音にこんなに驚くなんて、僕は自分の気の弱さにため息をついた。「もしもし?隼人?何?」「お前今暇?合コンしてんだけど、さとしがドタキャンしたからお前来いよ!」冗談じゃない。こっちはバイト帰りで合コンどころじゃねぇよ。と心でつぶやいた後、僕は鼻をこすりながら言った。「ごめん、風邪ひいてっから。今度にして」大学生…何の為に学校行ってんだ。合コンで女を持ち帰るためか?なぁんて僕は思った。仕送りなしで、学校とバイト先を往復してる僕にとったら、女が入る余裕なんて心の中に1ミリもないと思った。その時に僕の前を歩くミニスカートの茶髪のこの女が隼人達のいる合コンに来ている、いわゆるお持ち帰りされて喜んでいる女のように思えた。とその時その女は財布を落とした。もちろん、気が弱い僕は拾ってポケットに入れるなんて事はできない。少し悲しいが僕は後ろから「あの、すいません」と言ったが普段叫ぶ事をしないせいか聞こえていない。「あのぅ、すいません!財布落としましたよ!」聞こえていない。ナンパだとでも思ってるのか?君みたいな今にもパンツが見えそうな子は僕はタイプじゃないよ!とモテないくせに変なプライドを見せ付けるかのように女の肩を叩いた。「あのう、コレ落としましたよ」振り返った女は可愛いと思ったがすごくビックリしていた事な僕は違和感を感じた。女はおじぎをすると携帯を取出しメールを打った。僕は自分と変わらない年の女に、最近の若いやつはお礼も言えないのかと内心むかついた。すると女はいきなり僕の目の前に携帯の画面を見せた。【わたし、耳が聞こえないんです。財布ありがとうございました。助かりました】僕はいい事をしたのに、何故か罪悪感で胸がいっぱいだった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 さくら 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ