圭介は…
このいじけている少女が昔とんでもない事をしたのを知っている…ι
「お母さんのバカッ!!」
「桃ッ!」
桃が向かった先は玄関だった。
……はずなのだが…
バァアキィッ!!!!
それほど広くない家だった。
だから折れる音がとんでもなくよく響いたのだろう。
何かが折れる音が。
何が起こったのかよく分からなかった母が言う。
「桃ぉー?」
………………
「…桃?ι」
「…………ぃたた……」
母は娘に何かあったら…!と
物音がしたほうへ走る。
………と
まっぷたつになった柱に挟まれて、
茶色のまじった瞳がこっちを見ている。
「お母さぁ〜ん…」
「桃がやったの?」
「………」
桃は黙ってしまった。
「どうなの桃」
「っ…」
顔をそむけた。
「そうなのね…!」
「でもお母さんが悪いんじゃん!!」
それでも母の表情は変わらない
「ねえ!!」
母の眉がピクッと動いた
桃はそれに気付かなかった
…続けた
「謝るとかないの!?」
「あたしはあんたのせいで怪我……」
顔をあげてみると
そこには
これまで見た事がないような
母の悲しそうな顔があった
「何よ?」
「何なのよ!?」
母がまばたきをした瞬間……
涙がこぼれた
「お母さん…?」
何が起こってるのか分からなかった
あたしは
何をした?
あたしは
あたしは……