綺麗な涙【再終話 本当の幸せ】

ピアニッシモ  2006-02-18投稿
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あの手紙を読んでから10年がたつ。
今、私は26歳。
結婚もして子供もいる。

彼のお葬式の日、私はみんなが心配する程泣いた。
いくら泣いても、
『みぃは泣き虫だな。』
と言って抱き締めてくれる彼は戻って来ない。
だから、余計に悲しかった。
もう・・・だめだよ。幸せになんかなれないよ・・・。
と何度も思った。

大学生になるまで、恋は出来なかった。
出会いはあっても、自分で避けていた。
恋は私を幸せにしてくれるなんて思えなかったから。

でも、ある日。
図書館で会った人と仲良くなった。
大学生の男性。
それが今の旦那との出会いだった。
とても優しく私のことを見てくれる目が健司に似ていたから、何度か会っていくうちに彼のことを話してみようと思えた。

私は、健司のことを話した。
話し終わって、びっくりした。
その人が泣いていたからだ。
『ごめん。なんか、わからないけど、涙が自然にでちゃったよ。』
その人は恥ずかしそうに笑って言った。
『あ、ううん。なんか嬉しかった。』
私は素直に、本当に嬉しかった。
『優しい人だったんだね。健司さんっていう人は。
君のこと、愛してるから自分のことを忘れろって言ったんだろ。
勇気がいる、でも、彼にとっては一番好きな君への思いやりだったんだね。
幸せになるには、人に愛されなければならない。でも、愛されるには、自分自身も誰かを愛さないといけないんだ。
それがわかってたからこそ、彼は自分が君、みぃさんが誰かを愛する邪魔になりたくないって思ったんじゃないかな。
いつまでも、自分のことを引きずってほしくない、だから忘れろって言ったんだね。』
とその人が言ったのを聞いて私は泣いてしまった。
何度も何度も頷きながら・・・。
そんな私を見て、
『みぃさんは、泣き虫だな。』
とその人は優しく私を見つめて言った。
それが健司となんとなく似ていてますます涙が流れた。

私はその後、その人に惹かれていった。
そして結婚して、今私は幸せだ。
私を愛してくれる人がいる。
そして、愛する人がいる。
健司は私に本当の幸せを教えてくれた。
本当にありがとう・・・。

【あなたの綺麗な涙は好きな人のために流してください。】

おわり

読んでくださった方、ありがとうございます。
また、違う作品を書きたいと思うので、よろしくお願いします。


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