嫌われたくない
キラワレタクナイ
あたしを見てほしい
アタシヲミテホシイ
あたしの頭の中はただそれだけでいっぱいだった。
あたしはあの時のまま、一歩も前に進んじゃいない。
あの時のように、頭によぎる。
『人を好きになるのは難しいけど、嫌いになるのは簡単。』
人を好きになるのが難しいなら、嫌いになるのは、もっと難しい…
嫌いにならなくてもいい、忘れて、もっといい恋をしたらいいって自分に言い聞かせたじゃん…
だけど忘れられない…
それほど好きだったから…
「…どした?大丈夫か?」
ふと、木之本君が、過去を追って胸が苦しくなったあたしに声をかけた。
「…っ」
言葉にならない言葉が口からもれた。
もう、
なんかどうでもいい。
好きな人なんかいなくても…
激しい脱力感に襲われた。
「なんでもない」
ほんとは、なんでもなくない。
だけど、こんなあたしの過去話を話したって…きっと木之本君、困るだけだ。
あたしは笑った。
惨めな気持ちを悟られたくないし。