一時間目が始まろうとする直前、担任の西岡が教室に入って来た。
「何や、今日は早いな〜」
隣の席で阿部やんがこそっと話し掛けてくる。
「え〜、今日は転入生を紹介します〜」
…転入生?
その言葉を聞いて、昨日の少年を思い出していた。
(へぇ、こんな時期なのに転校してくる人、結構いてるんだ)
オバチャン先生、西岡が独特のしゃべり方で転入生とやらを教室に誘導している。
「!?」
入ってきた、彼を見てハッとした。
「どうも、水嶋 碧です!隣町からやって来ました。最近、木登りにハマってます☆ヨロシク!」
そう言って、長めショートのヘッドフォン少年はニカッと笑う。
当の私と言うと、あんぐり…。
同期だったんかい!
って言うか、あの時も木登りしてたんかい!
再び現われた彼はツッコミ所満載で、阿部やんと三年も一緒にいる私にはたまらなかった。