休憩時間になると、ヘッドフォン少年、水嶋君の周りには人だかりが出来ていた。
「皆、珍しもん好きやな〜」
阿部やんがぼやく。
あ、水嶋君と目が合った。手を振ってこっちに駆け寄ってくる。
「昨日はどーも☆」
いやいや、と首を横に振る。
「まさか同じクラスとはね!」
「ほんとにね(笑)」
彼が手を差し伸べてくる。
「改めてヨロシクね!水城ちゃん♪」
み…ミズキチャン?(汗)珍しい呼び方されてびっくり。握手しようとした手が一瞬とまる。
「ってか、何で私の名前知ってるのかな…?」
ん?とした顔して水嶋君は答える。
「あぁ、あの人たちが教えてくれたの」
指差した先を見ると、水嶋君の机の周りに、まだ女の子達が数名残っていた。
「それはそうと…」
私の方に向けていた体を少しずらして阿部やんを見る。
「こちらが水城ちゃんの親友様、阿部さんだよね!ヨロシク〜」
二人が握手してる。
(お、珍しい光景。阿部やんが握手してるよ!)
ちょっと感動していると阿部やんがニヤッと笑ってこっちを向いた。
「な、何?」
ほんのり冷や汗。
「昼休み、待ってるで♪」
水嶋君は何の事やら…と言った様子。
私は仕方なく覚悟を決めていた。